第1回「千葉県子どもの人権懇話会」報告

 2005118日(火)13301630千葉市生涯学習センター大研修室で、第1回「子どもの人権懇話会」が約70数名の参加のもと、開かれました。
 先進的な子どもの人権擁護の取り組みから学びながら、千葉県における子どもの実態と課題について意見交換を行い協働の可能性を探ろうと、当初市民8団体による実行委員会で準備し、県内市町村、市民団体に参加を呼びかけました。
 テーマを「子どもの人権ネットワークをどう整備していくか」とし、県内で既に子どもの人権ネットワークの活動を実践している各市(市川市八千代市・我 孫子市)の担当課から、更に、児童相談所、子どもの人権擁護活動に取り組むNPOから、それぞれ現在の取り組みと子どもの現状について発言していただき、 会場参加者と意見交換を行いました。

趣旨説明 実行委員会代表 池口紀夫
 大人社会が子どもたちに何をメッセージとして送り、何に取り組んでいくか。義務と責任をしっかり果たしなさいと迫るか、私たちのパートナーとして喜んで迎え、人として尊ぶことを約束するか、十分考えなくてはいけない。まず、千葉の子どもたちの苦しんでいる現状がどうであるかを踏まえること。
 学校における人権侵害、体罰・セクハラ・いじめ、自殺、高校中退、虐待、児童福祉施設内部での暴力・虐待・性被害・・の現状を放置して良いわけは無い。家庭崩壊の現状、少年院の非行少年の6割以上は被虐待児だという報告もある。安心できるはずの家庭も子どもにとっては辛い状況。この危機的現状に対し、誠実に何をなすべきか、まず取り組んでいくこと。子どもの権利条約を守る約束を果たす。行政・専門家だけに任せるのではなく市民が積極的に取り組むため、本日は市民が中心になって呼びかけ、子どもの現実を共有し、既に取り組んでいる市町村・市民団体の活動状況を参考に、県・市町村・専門家・市民団体が力を結集して何をなすべきか、何ができるかをともに考えていきたい。


提案
@「いちかわ・子どもの人権ネットワークの実践から」
    発言者 市川市子育て支援課 金子登志夫さん
「いちかわ・子ども人権ネットワーク」は、平成11107日、虐待に限らず、子どもの人権を侵害するようなことがないよう予防策を明確にすることや、人権侵害が発生したときの対応を適切かつ迅速にするための方法等について、調査研究することを目的に設立された。
 地域の中の子育て支援や子どもとその家族への援助、子どもの人権や生命を守るという観点から、子どもの人権に関して、福祉、保健、医療、教育、警察、司法など、日頃から子どもに接する機会のある各関係機関の連携と、市川市内における子どもの人権を擁護する活動を総合的かつ効果的に行うことを目的としている。担当は子ども市民相談課からH14子ども部が設置され移管された。
主な事業としては
(1)
 21の関係機関、25の委員で構成した会議を開催し、関係機関の情報交換や連携を深める場と 

している。12名の専門部会と4名の緊急対応委員委嘱。
(2)
 子どもほっとラインによる無料の電話相談。
  フリーダイヤルで午後2時から5時(平成15年実績 延べ128件)
(3)
 子どもほっとライン連絡先カードの配布。
  小中学校1年生全員に毎年カード配布。その他チラシ配布。
(4)
 子どもSOSミニレターによる無料の手紙相談(平成15年度実績 49件)
  全生徒に用紙配布。無料で投函できる。
(5)
 イベント等における子ども総合相談や広報活動の実施。
(6)
 子ども生活アンケートの実施(毎年15年間継続)
  教育委員会との関係で、質問項目が制限され、いじめや先生との関係など本当に聞きたいこと 

が聞けなかった。
今後の課題は
(1)人権に関する普及啓発活動の充実  
  いじめ等が起こらない社会・学校を目指す予防活動の充実と、人権と言うとアレルギー反応を 

起こしやすいが、「人を思いやる気持ちの大切さ」等、子どもたちにも分かりやすいことばで関心を持ってもらえるよう普及啓発活動を推進。

(2) 他の相談窓口との役割分担
 「いちかわ・子ども人権ネットワーク」と教育委員会の相談事業の役割分担が明確でなく、二重 

構造になっている。権限が無く緊急対応が難しい。実際に動くのは教育委員会や市の機関。もっと効率のよい役割分担ができないか。
 警察など外部との接触では多くの関係機関の連携強化は大いに役立っている。5年経過し、人権ネットワークとしての活動をどこへ持っていくか、課題解決に向けて努力している。

A「子どもの人権ネットワークの実践から」自治体シンポジウムの資料から―
     発言者 八千代市児童支援課 育児支援センターすてっぷ21 大山美代子さん

 八千代市では、虐待だけでなく幅広く子どもの人権を守るという視点で、市民参加で何が必要かを吸い上げた上で、「子どもにやさしいまちづくりプラン」を策定。虐待も重篤度・数とも従来の連携では不十分ということで、虐待防止対策に関する関係団体および関係機関の連携、子どもの人権に関する研修会開催、子ども電話相談の設置を目的として、平成145月に子どもの人権ネットワークを設置。24団体で構成。
子ども電話相談
 八千代市には子どもに関する各種電話相談はあるが、利用者は大人がほとんど。子ども自身が抱えているさまざまな悩みを相談できる制度を設置するために、 子どもの人権ネットワーク会議を開いて協議。電話の受け手・相談員の研修を行ったが、子どもに近い年齢の人が良いということで、市内にある東京成徳大学の 協力のもと、学生に研修を行い、子ども電話相談が設置された。
平成165月、「おにいさん・おねえさん子ども電話相談室」設置。
・ 子どもが気軽に相談・意見表明ができる場の確保。
・ 制度が身近に存在することの安心感。
・ 子どもが比較的話をしやすい、おにいさん・おねえさん(福祉心理・臨床心理学科の学生) 

が相談員。
八千代市在住の18歳未満の子どもが対象。月〜金15001700
・ カウンセリングの視点ではなく、相談者である子どもの話をじっくり聴くという心構えで相

談にのぞむ。相談内容によっては子育て相談室を紹介、専門職員による対応。必要な場合、相談者の了解を得て関係諸機関と連携して対処。

・ ポスター・カード配布に学校が協力。教師が子どもたちにこまかく説明。
 子どもの専用電話として周知されている。いつでも電話できる。
・ 相談内容は予想とは違って、学校での友だち同士の関係、家族との関係についてのことが 

多い。(わかってくれない)。
・子ども自身が動けること、カード等子どもといっしょに作っていけたら良い。


B「子どもの権利に関する取り組みについて(我孫子市子ども総合計画)」
   発言者 我孫子市子ども課 長谷川敬一さん
 我孫子市の人口は132,000人で、50代後半から60代前半、次いで20代後半から30代前半の世代が多く子育て世代の流失がある。子育てしやすい街づくりが行政課題として位置づけられている。

子ども総合計画の策定・・市長部局と教育委員会で共同事務局
・ 子どもの遊び場・親子の交流の場づくりの計画策定
 できる限り子どもの目線で、「青少年の健全育成」という言葉は使わない。
 大人の理想像は押し付けない。コンサルは委託せず、市民と市で策定する。
・ 市民・高校生・大学生も加わった策定委員。子どもの意識調査も実施。
 アンケートから見た我孫子の子ども像
・ 明るいが、実体験が少なく、我慢強さや協調性に欠け、精神的に弱い。
 家庭・地域での体験活動(手伝い・自然体験・ボランティア活動)が不足。
・ 大人社会が子どもの意識や行動・態度に反映している。社会全体が、心豊かに生きることや子  

どもの最善の利益等に対する意識を高めていくことが必要。
・ 親が子どもに信頼されていると思っているほど子どもは信頼していない、親は子どもを信頼し 

ているのに子どもは信頼されていないと感じている認識のずれが大きい。
・ 親から信頼されていると感じるかどうかで、子どもの自信ややる気に大きな違いが。
 親から信頼されていないと感じている子ども
自分をだめ人間だと思うことが「少しある」+「たくさんある」77,9% 
 やる気が起きないことが「よくある」+「時々ある」77,8
・子どもたちが自分自身に自信や自尊心を持てるよう、親を含めて大人が子どもへの接し方、意識 

を変革し、子どもを抑圧しているものを除く関わりをすることが必要。
計画のベース 子どもの権利に関する条約・子どもの最善の利益の尊重。

児童福祉法の理念
計画の基本理念
 我孫子市は、子どもたちの人間としての尊厳を守り、地域社会のすべての人が力を合わせ、自立する子どもの育ちを支援します。
基本的な視点
・ 子どもの人権を尊重する意識の醸成と環境整備
・ 子育て支援の社会化の推進と「子育て力」を育める環境整備
・ 家庭・地域・学校との連携を重視した取り組みの推進
・ 子どもの発達段階に応じた取り組みの推進
基本目標
・ 子どもたちが心豊かに、自分らしく育つまちづくり
・ 子育てに楽しみや喜びが感じられるまちづくり
・ 子どもの成長と子育てを社会全体で支援するまちづくり
新規18事業の中で子どもの権利に関する事業
・ 子どもの権利条例(子どもに対する市・市民としての姿勢スタンスの表明)
 子どもオンブパーソン制度についても調査・研究。条例に位置づけたい。
・ 子ども版あびこ広報(子どもの意見表明の場の確保)
・ 大人と子どもの討論会、子ども会議の設置(子どもの意見表明の場の確保及び子どもの意見を 

施策に反映する仕組みづくり)
計画の推進体制・全庁的な推進・・保健福祉部に子ども課設置。
今後の取り組みH1621年前期 H2226年後期 今年度は計画の周知を図る。
市民と市が協働で、我孫子で育って良かったと思える街づくりを進めたい。
 
C「虐待問題と人権救済について」
      発言者 千葉県中央児童相談所 高橋力さん
 児童相談所の相談業務の中では、近年、虐待問題が注目されている。現場から見た児童虐待について話したい。
・ 虐待内容では身体的虐待が多く、次いでネグレクト、心理的虐待、性的虐待と続く。信じられないことが現実に起こっている。何かが変わっている。
・ 被虐待児の年齢構成は、小学生が多く、3〜学齢前、3歳未満となっている。
・ 主な虐待者は実母が最も多く、次いで実父、実父以外の父。
・ 虐待の経路別相談では、家族・親戚等が一番多く、近隣・知人、市町村、学校となっている。本人からの通報もある。
・虐待の背景としては、経済的困窮、親族・友人からの孤立、夫婦仲が悪い、育児への嫌悪感などが上げられ、今の世の中が反映している。都市部での孤立した 育児が問題とされてきたが、市町村別虐待相談発生件数から見ると、都市部と山間部・農村部等との差はない。従来は地域で助け合う関係ができていたが、現在 はどこでも起こりうる。
・ 立ち入り調査
親が反対して強硬姿勢をとった場合。H16年度は無かった。
・ 警察官の同行件数
H16年は無かったが、難しい状況。
虐待を減らすにはどういうことを考えていけばいいか。

D「障害児における人権侵害の実態から、救済のために今必要なこと」
     発言者 共に育つ教育を進める千葉県連絡会 高村リュウさん
1
 子どもの一人と見られていない厳しい現実
・ 障害のある子はどこにいるのか・・千葉県の保育事情 
保育所入所割合の比較 千葉市2.0% 千葉県0.65
 A市保育所 3歳で歩けない子は入れていない。
 B市学童保育 面接後申請受付軽度のみ受け入れ。重度の子は障害児専門学童(千葉市はどのような障害でも受け入れ)
公的機関での差別と人権侵害の実例・・実際に目にしている事例
・「うちはそういうのは扱っていません」と、幼稚園への入園を断られた。
・「障害児がいて、なぜ、もう一人生むのか」
・「働きたいなら施設に入れなさい」「障害児がいるのに働く気ですか」
・「この狭い部屋でお子さんが昼寝をしたらどうするのか」
・「評価するレベルに達していない」と言われ、通知表白紙・斜線。
・「親が付き添いなさい。」と言われ、父親が仕事を辞めて付き添った。
・カッターナイフで指を切っても、「痛みを訴える力があるかどうか待った。」
・・
行政は意図しないで差別を行っている。
当事者の声が届かない 断られた経験は親子の勇気(声)を奪う
あなたの市町村では「子ども」の中に(重度の)障害児も含まれていますか?
2 なぜ差別や人権侵害が起こるのか
・学校での分離が根本
 能力が低い子は別な場所へ みんなと同じことができなければここは無理
 障害児は価値の低い特別な子ども・・分離は差別
共に育つ教育なしには共に生きる社会(文化)は作れない。
どんな障害があっても同じ価値を持つ一人の子ども だからみんなの中にいるのは当たり前。
普通にみんなの中で暮らすために支援があって初めて平等になる。
3 救済のために今必要なこと
・今ある制度や枠の中で障害児を捉えるのではなく、「子どもの人権」という子どもの視点から行政の制度や慣習を見直すこと(保育所・幼稚園・学童保育・学校)
・差別や人権侵害は許さないとはっきり社会に宣言
・「子どもの人権」という視点をもつ、実効性のある救済機関
子どもは自分が分けられるとは思っていない。
子どもは自分に値打ちが無いとは思っていない。
子どもを分け、値打ちを奪っているのは大人。
そこから出発したい。

E「権利擁護相談活動から見えてくること子どもを守るために今何が求められているのか」

発言者 NPO法人千葉こどもサポートネット 米田修さん
 NPO法人化し、子どもの権利を実際に守る子どもの人権擁護サポーターの養成講座を県内各地で開いている。
事例・県立高校中退問題・障害児の普通学級進学の相談・わいせつ教師の相談・放火冤罪事件・ネグレクト・就学相談・虐待問題・・・
1 子ども本人の権利(人権)とは何かを確認すること
・ 義務と引き換えの権利という発想から抜けきれない。何かができる
権利
@ 基本的人権の保障・・憲法 
A 子どもの最善の利益、自己決定・・子どもの権利条約、意見表明権
2 子どもの権利の性質(人権の弱者)
・高校で単位が取れないと退学・・人生がかかっている。意見表明のシステムが必要
・自分の権利を知らない・知らされていない。意見表明の整備もされていない。
・権利侵害を受けた場合に、自分の力で回復することができない。
・自分で権利をつくることができない。(参政権が無い)
3 子どもの権利侵害を子ども(保護者)自身が回復する困難性
・侵害された権利そのものが権利として社会で共通に理解されていない。
・子どもの権利擁護のシステムが整備されていない。
・子ども自身(父母等保護者)が自己責任で救済することが原則。
利用者が利用できるシステムになっているのかどうか?
相談によって救われることはあるが、権利擁護システムがない。
対話を申し入れても学校・教育委員会は拒絶する。
4 子どもの権利擁護の実践
大阪市TPC教育サポートセンターの実践(専門家として学校側のサポート)
学校側も一緒のテーブルについてほしい。
5.子どもの権利基盤を整備する。
・権利基盤型アプローチ・・子どもの権利を保障するような政策を。
@ 行政(学校)施設内部システム・・内部の責任で政策を作ること。
・子どもの権利の明確化(子どもたち自身が参加してつくる法令・条例)
・内部に権利侵害救済の第三者機関の設置・コンプライアンスプログラム整備
・内部の評価委員会の設置(父母・保護者を含む)
A行政・施設外部システム
・外部に権利侵害救済の第三者機関の設置。子どもの権利委員会設置。
B民間と行政が地域社会で連携して子どもの人権擁護活動ができる体制づくり
・ 千葉県中核地域生活支援センター
・ 子どもの人権擁護サポーターの養成。
6 子どもの参画型社会への展望
・学校運営への子ども参加・地域社会での街づくりへの子ども参加(例・北海道ニセコ町まちづくり基本条例)。

会場から
県児童家庭課副課長 松澤一美さん
・次世代育成支援行動計画策定中・・虐待・不登校・引きこもり・障害児の問題等、今日の議論も踏まえて計画の中に生かしていきたい。茂原に児童相談所の支所も開設。民間の方々の力も貸していただき虐待等に対応していきたい。
ネモちば不登校・ひきこもりネットワーク 下村功さん
・不登校・ひきこもり当事者として
本人がなった時、親が認めない・責めている場合、誰も味方がいない。人権が守られない。プレッシャーに親が負けてしまっていて、本人を責め、更に状態が悪く、辛い状況に。
・若者の働く場が少ない。ますます社会に出て行くきっかけがつかめない。
・子どもことを決めていく政策決定の場に、子どもが入っているのが少ない。
・本人の味方になる地域のネットワークが必要。
地域市民団体・弁護士・学校・行政などの協力・支えるネットワーク。
・相談できる場とシェルター(家にいると状態が悪くなるので家を出ると居場所が無い、方法が無い)・同様な経験者の紹介(生きていく可能性を知る・共感)
・働く経験のできる場所・経験者の若者たちが軸になって仕事をつくっていく。
・誰の子か。みんなの子と考え、地域みんなで支え関わっていくことが大切。
・高額のお金を取る業者がいる。多く場合、本人の人権は無視している。
・コミュニティビジネスをつくっていく。農業・漁業・商店など跡取りがいないなど問題を抱える地域のつなぎ役になる協議会をつくっていく。
・若い人が関心を持っていない。子どものころから意見を表明できる場、聞いてもらえる経験が必要。八千代市障害児放課後施設「虹と風」の利用者の親
・知的障害・肢体不自由・自閉症等で学童保育にいけない子たちのためにNPOを立ち上げてやってきたが、補助金250万(東京700万)が財政難で70万 に(家賃18万・職員4人・親がボランティア・フリーマーケットなどで、今までやっと維持してきたが困難に。2万人の署名を集めている。)
・障害を持っている子は親が見るべきだと言われた。
・学童の障害児枠が少ない。養護学校の子は学童に入れない。
・市の職員が入っている施設はカットしない。
・空き教室・公民館も貸せない。
高村さん・・制度的には学童保育の対象児童・地域の子と一緒に学童保育に。
池口さん・・さまざまな考え方があるが、子どもの人権とは何かをベースに据えてどういう施策が必要かやっていくべき。

児童虐待防止法の改正を求める全国ネットワーク 浦島佐登志さん
・警察官関与誰が保護の判断をするか・司法関与 ・3年後虐待防止法の改正
・虐待は誰にでも起こりうると言いながら、個人が悪いとされる。
・千葉県では虐待で6人死亡。
・佐倉
自宅に帰っている情報が地域に届かない。どこが最終的にコーディネートするか、地域へのフィードバック体制ができていない。
・松戸
警察・福祉事務所・保健師・児童相談所・学校が関与しながらなぜ、救えなかったのか。今後まとめていかなければいけない。
・虐待で施設入所は50%だが、28条適用が20%以下になってしまう。虐待認定について社会的認識を高めていく必要がある。ネグレクトの認識が低い。
・ハイリスク世帯をどう把握するか。病院で調査。プライバシーの問題がある。
相談に来ない所帯をどう把握するか。
・虐待だけでなく子どもに関するすべての相談を受けるところから、虐待問題が浮かび上がってくる。県行政のノウハウを虐待対応窓口ができる市町村に。
中央児童相談所高橋さん
28条の訴えを起こすことには子どもの将来が関わっているので慎重になる。
・子どもの福祉を損ねないようにするのは、どのような虐待も見逃さないこと。
県虐待防止対策室 櫻井明さ
・虐待防止ネットワーク(現在県内19箇所)をつくらないと、市町村で虐待相談に対応できない。
・市町村合併を控えている、他の部署との連携がうまくできない等で進まない。
・フォーラム開催などを通じてネットワークづくりを。
池口さん・・地域の福祉力のネットワーク化が必要。
中核地域生活支援センターあいネット 泉一成さん
・虐待の対応。DV・ネグレクトの家庭に飛び込んだ経験がある。当該市に相談の上立ち入り、母親が夫に殴られ、うつ状態で子どもをネグレクト、母親から電 話、救急車で母親が病院へ。児童相談所が子どもを保護する態勢を。離婚、母子家庭、学校の担任に相談し、ネットワークで対応。 
・薬依存の母親・食事も作らない。子ども放置。児童相談所に相談。
・学校が、発達障害者支援法ができたので特別な支援が必要な子は養護学校へ行ってくれと、逆に取られている。普通学級・特殊学級の教員のいじめがあって養 護学校の子どもが増えている。中核に相談が来ている。第三者が入るのを嫌う。理解がない。母親が一人で抱え込まない体制作りが大事。
・福祉救急隊の弁護士にも相談しながら取り組んでいく。司法が関わる。
MDエコネット ノーマライゼーション相談事業 古谷さつきさん
・発達障害支援法の学習会で違和感。早く見つけて早く療育をと路をつける。昨年5月障害者基本法が改正され「共に学ぶ環境を」という言葉が付帯決議に。
・相談事業はたくさんあるが、行政へ相談に行き傷つけられたという相談がくる。追い討ちをかける。権利擁護が当事者レベルで考えられているのか疑問。
金子さん・・ネットワークが機能するかどうか難しい。役割分担の整理が必要。子育てサークルはたくさんあるが、子どもが生まれた情報を民間は持っていない。当事者へ地元のネットワークの紹介などを検討。
大山さん・・不登校の子の就労のヒントがほしい。
・自治会・長寿会・ロータリークラブなど市民団体を入れての話し合いの中に、未然防止・子育て支援の視点で見守りを。
虹と風・・今回の予算削減は弱いものいじめ。
障害があろうがなかろうが大人も子どもも健やかにというのが行政の責任。
長谷川さん・・個々の事業が大事。
高村さん・・・千葉市の取り組み・・どんな障害があっても保育所・学童に入れる。親たちが何年も頑張ってやっと勝ち取った。
米田さん・・子ども・保護者の当事者の意見を行政に反映させ、取り入れる。
・子どもの人権の基準を発表すべき、それに沿った施策を。
・法律に基づいた救済機関・条例化を早く。

まとめ 池口

専門家と当事者の間に対立構造・市民の中にも対立構造。体罰問題でも教師を擁護する運動。熱心さのあまりの教育。深刻な問題。見解の違い。子どもに不利な土壌がある。
1.人権の基準を明確に公的にしなければいけない。地域社会全体が取り組んで、対立構造を乗り越えなければいけない。
2.権利擁護活動。第三者システムが必要でないと思っているのは、教育行政。その現実を踏まえること。
3.深刻な人権侵害を救済するためには、救済システムに権限の付与があるかどうかが、別れ目になる。
4.防止・啓発活動がどれだけ丁寧になされているか。
5.法制化・・包括的アプローチが必要。条例化が大きな取り組み。
6.大きなポイント・・非行・虐待問題で生活支援が欠けている。事業化・法制化が必要。地域・市町村段階で、どうネットワーク化していくか。
7.あらゆる段階で子どもの参加があるかどうか。子どもの施策で第1章に「子どもの人権」が載るかどうかがポイント。

以上7点の包括的アプローチが必要。行政・民間が一緒になって、今後子どもの人権ネットワーク連絡協議会を作りたい。